おっちゃんに、反抗的な態度をとる女の子がいました。
小学6年生のなゆたちゃん。
実は、もうすぐ、別の町に引っ越すことになっています。
なゆたちゃん
「まだ荷物とかあるし。」
辰巳秀盛さん
「まだ箱は入れてないの?」
なゆたちゃん
「入れてないって言ってるやん、耳遠すぎる。」
辰巳秀盛さん
「おっちゃんは非常に寂しいんやけどな。
しゃあないな、いつまでも“寂しい寂しい”言うてもあかんな。」
辰巳秀盛さん
「こんなかわいいときあったんやで。」
両親が共働きで、家で1人過ごすことが多かった、なゆたちゃん。
小学1年生のころからずっと「プレハブ文庫」に通い続けてきました。
寂しいとき、いつでも笑顔で迎えてくれたのが、おっちゃんだったのです。
なゆたちゃん
「ひとりっ子やから相手誰もしてくれへんし、ママも仕事忙しいし、パパも仕事忙しいから、おっちゃんが相手してくれる。
もうひとつの家みたいな感じかな。」
引っ越しが近づいた今、どうしても素直になれません。
引っ越し当日。
なゆたちゃんを見送ろうと、「プレハブ文庫」の仲間が集まっていました。
ところが、出発の時間が近づいても、おっちゃんの姿がありません。
なゆたちゃん
「業者来たから、来て!」
おっちゃんに電話をかけました。
なゆたちゃん
「来んねやろ?
時間ないって、はよ来てな!」
10分後。
おっちゃん、ギリギリで間に合いました。
辰巳秀盛さん
「最後のお別れ。」
なゆたちゃん、やっぱり素直になれません。
辰巳秀盛さん
「握手しよ。」
なゆたちゃん
「やっぱりいい、嫌や。
嫌っていうか…。」
母親
「恥ずかしいんやろ。」
辰巳秀盛さん
「最後まで抵抗してましたね。」